2014年8月28日木曜日

レオとチャオ


レオとチャオ, originally uploaded by hiha.

彼女がその猫を連れてやって来た。
「とてもおとなしくて可愛い猫ですから」と言ってケージから出すと一目散にサイドテーブルの下に隠れてしまった。
確かに可愛い顔をしているが、ちょっと神経質そうだ。
「まっ、直ぐに慣れるでしょう」
「何か問題があったら連絡ください」と言って彼女は帰っていた。

レオと名付けたその猫はサイドテーブルに隠れたまま出てこない。彼女が持って来た餌をあげても食べない。

一晩過ぎても何も食べない。どうやら知らない場所に連れてこられて、かなりショックなようだ。
どうしたもんかと思案していると、翌日、母が言い出した。
「これはきっと、兄弟から離されて、よほど辛いに違いない。
もう一匹も飼いましょう一匹飼うも二匹も飼うも変わらないから」
何と後期高齢者とは思えない力強い発言。
直ぐに彼女に電話してみると
「もう一匹の猫も病気になっちゃいまして・・・・」
やっぱり兄弟を引き裂かれてショックなのだろうか?
彼女は月曜の夕方に連れて行きますといって電話を切った。
再びケージを持って彼女はやって来た。
直ぐにケージを開くと兄弟の元へ走っていた。どうやら二匹とも安心したようだ。
「やっぱり一緒がいいんですね。おまえたち、ここで幸せに暮らすんだよ〜」と言って彼女は帰っていった。
チャオと名付けられたもう一匹もレオも嘘の様に餌を食べ出し、日に日に元気に暴れだすようになった。

しかし、こんなに仲の良い兄弟も見た事が無い。
一度、チャオが開いていてる窓から家の外に出てしまった。初めての庭でハシャギ回るチャオ。

これはまずいと捕まえようとするのだが、楽しくてしょうがないとチャオは簡単には捕まらないと走り回る。
すると家の中からレオが鳴き出した。普段は鳴かないレオがまるで
『行くな!行くなチャオ!!』と叫んでいるようだ。
お構いなしのチャオは木に登ったり、草むらに隠れたりしている。
何とかしなくてはと普段、連中のお気に入りのおもちゃで気をひいて、やっとこさ捕まえて家に中に入れた。
するとレオがチャオを怒る怒る。猫パンチや噛みついたりと、いかにも『チャオのバカ!!』と言っているようだ。
レオにとってはチャオがいなくては生き ていけないほどの愛しい兄弟なのだ。
どちらかといえば大らかなチャオも病気になるくらいなのだからレオが大事に違いないだろう。

こうして元気な二匹は後期高齢者の手を焼かせながら、我が家の新しい家族になった。

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