山あいの街で古ぼけた橋を渡ると
ミラー越しには いつのまにか真っ赤な空。
脇道に滑り込んでクルマを寄せると
カメラを掴んで飛び出し 何枚かシャッターを切る。
ふと 冷たい風と一緒に 自転車が通り過ぎた瞬間
なぜか 少年だった頃の自分と すれ違った気がした。
そういえば 初めてのカメラを手に入れた頃
ピカピカのバックと三脚を 荷台にくくりつけて
何度も湖の夕焼け雲を撮りに 自転車を漕いで行ったっけ。
赤から紫へと一秒一秒変わる空の色を見上げながら
空も僕も あの頃と変わらないなと笑った。
tsukasa